Googleがインターネット上のアクセスログデータ収集を追い求める度に、データを有効活用して分析を行おうとしている企業は、そこに意味のないデータしか残されなくなってしまうことに危機感を覚えてしまう。
この検索王はCookie(注1)ベースのデータ収集を超えた別の方法によるデータ収集手段を模索し始めており、アクセスログ解析をはじめとした、広告効果測定やビッグデータ分析の状況を一変させるような技術の序章を見せ始めた。
ネット上でサイトを閲覧する際に、PCと紐付けられるCookie(クッキー)というコードを発行する事で、そこにアクセスしたユーザーのネット上の行動を追跡し、広告表示に有効利用できるものとして主に広告業界で誇張されているが、実際にはそれほどうまく活用できてはいない。なぜなら個人情報保護というプライバシー問題もさることながら、ウェブサイトとPCとの間のクッキーコードの受け渡しには下記の制約があるためだ。
Cookieベースによるユーザー行動調査の限界
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Googleが開発を進めている「ユニバーサルID」というソリューションがある。ユーザーを軸とした識別IDを個人に付与する事で、どのようなデバイス端末からインターネットへアクセスしても、ユーザー個人を識別しようとする試みであり、Chromeブラウザを立ち上げて、Chromeにログインすることで、既に個人を特定したトラッキングは開始されている。そうすることで、スマートフォン・iPadといったタブレット・職場や自宅、旅先や出張先を問わず、常にその個人が特定できる行動調査手法である。
Cookieに代わる代表技術として、また、Cookieには取得できない情報を取得できる技術として注目すべき事象である。こうした技術が浸透した場合、全てのネット上の行動データがGoogleの元に制御されることになり、インターネット産業だけではなく、携帯電話・ビデオ・映画等のディスプレイに関連する産業への影響力の拡大が容易に予期される。
Googleによれば「まだCookie代替への開発段階であり、そもそもユーザーは個人の設定により、いつでもオプトアウトでき、技術向上に伴いユーザーセキュリティも向上する」と言っている。
もちろん、Googleだけではなく、他のメジャーな企業であるfacebook・twitter・Yahoo!等もその会員IDによる認証により、個人を特定できることから、他のアプリや他企業のサイトでの閲覧行動ももちろん知り得る環境にある。
アメリカでは、第三者機関(サードパーティ)により収集されたアクセスログを用いることで、代理店やXaxis社により、ユーザープロファイルを軸に広告クリエイティブを作成したり、ユーザーが普段よく訪問するサイトに対して広告を出稿が行われている。(=第三者配信)
こうした取り組みに対し、Googleやfacebookなどのファーストパーティによって取得されたユーザーの行動履歴データをユニバーサルID付与で取得されるような状況になると、制限のない自由な顧客ターゲティング活動ができるようになる。
Xaxis社の社内情報によると、アメリカの広告代理店各社は既にこうしたクッキーレスなインターネット環境を浸透させるべく準備を進めている。よって、広告主自身もメディア媒体と共に、より積極的な取り組みをする施策が主流化し、Googleの進めるユニバーサルID取得への方向に向かう事になるであろう。
注1)クッキー; PCとブラウザ間で状態を管理するプロトコル、またそこで用いられるウェブブラウザに保存された情報。Webサイトの提供者が、Webブラウザを通じて訪問者のコンピュータに一時的にデータを書き込んで保存させるもの。クッキーにはユーザに関する情報や最後にサイトを訪れた日時、そのサイトの訪問回数などを記録しておくことができるため、ユーザの識別に使われ、認証システムや、ユーザごとに画面表示などを変える仕組みの要素技術として利用される。
By秋山尊謙
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