このKindle Fireは、カナダRIM社のブラックベリー携帯電話を製造している台湾Quanta社で製造されているものだ。
Amazon Kindle Fireは、iPhoneのように市場で目立つ存在ではないが、100万冊以上もの本(英語)を収録しており、このうち80万タイトルは1部9.99ドル以下の価格で購入することができる。また、69セント程度で購入できるMP3形式の音声ファイルやビデオクリップは、1,700万ファイルというコンテンツを有するため、コンテンツを見るためと地味な浸透が期待される。
Source; ブルームバーグ
このKindle Fireのサービスとして、年間$79を支払うと、プライムカスタマーとして登録され、追加料金など一切なしで11,000もの映画やテレビなどのコンテンツをストリーミングで楽しめるプランが用意されている。米ネットフリックスは20,000の映像コンテンツを保有しているが、おおよそ、その半分のタイトル数に相当するものだ。(その他有料のペイTVや、コムキャスト、ディレクTV、ディッシュ、AT&T、ケーブルビジョンなどとの連携はない。)
Source: Amazon.com
iPadは豊富なアプリによるエンターテイメントが売りであるが、Kindle Fireはシンプルな造りであり、エンターテイメント性には劣る。しかしながら、Eメール機能を付けて差別性を出している。おそらく、そのコンセプトは、ハードウェア端末として楽しむものではなく、その価格とそのコンテンツを楽しむものだ。
コンテンツを扱うとなると、その大容量ファイルの保存先として、個々の端末への保存ではなく、インターネット上に保存するクラウド化が進められることになる。事実、アップルは、巨大なサーバー拠点を北カルフォルニアに設けており、グーグルも同様に巨大なクラウドを保有、続いてアマゾンもこの2社と同じ「クラウド」という選択をしたことになる。
また、アマゾンはネットフリックスとアップルにも戦いを挑んでいる。500ドル以上もの大金をiPadやその他関連アプリにかける贅沢は必要ないと考えている人も多い筈である。ネットフリックスは、年間17ドルでストリーミングサービスが利用できる。
しかし、パーフェクトではない。目当てのコンテンツまでどのようにして辿り着くのか、殆ど全てのムービーが、購入という買い取りではなく、レンタルサービスであったり、ネットフリックスやiPadであればアメリカ国外で利用ができるのに対し、Kindle Fireはアメリカ以外での利用はできない。おそらく米Hulu PlusもKindle Fireでは使えず、iOSの端末にもコンテンツは配信されないと見られる。どのメーカーも他の企業との相互乗り入れを嫌い、自社内での閉ざされた環境の中でのサービスに留まる。こうした状況では、アンドロイドだけが活路になるのかもしれない。
産業系アナリストや調査会社では、新しい端末がリリースされる度に、この端末は電子辞書、電子ブックに含めるのか、タブレット端末に含めるべきか、ノートPCにに含めるかというような議論が持ち上がるが、機器や端末での議論ではなく、これからはコンテンツや配給事業者視点からハードウェアを分類をした方がスムーズなのではないか。
無形財産であるIPや特許をはじめとした、コンテンツを保有するゲーム事業者やハリウッドの意向が拡大し、ハードウェアを製造する端末メーカーにまで影響力を及ぼすような、直接的なパワーバランスが生じてくるであろう。
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By 秋山尊謙
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